住宅ローンは、ほとんどの人にとって人生で最も高額のローンです。

支払時にサインをしたり、書類を書いたりすれば手続きが完了する通常の分割払いとは異なり、申し込みの手続きや、その後の流れも何かと煩雑です。

そこで今回の記事では、そうした住宅ローン全体の流れを5つのステップでご紹介し、各ステップの詳細をご紹介します。

住宅ローンの主な流れは、下記の5ステップです。

・住宅ローン事前審査
・売買契約とローン申し込み
・住宅ローン本審査と決定
・ローン契約
・融資実行

住宅ローン事前審査

住宅ローンの場合、本審査の前に事前審査が行われます。

本審査前に行われる事前審査ではローン申込者の返済能力と購入する物件の担保価値などが審査されます。

また、借入時の年齢や完済時の年齢、年収、勤続年数、健康状態なども審査の対象です。

事前審査にかかる日数は金融機関にもよりますが約3〜4日程度、Web申し込みで15分程度で事前審査結果がわかるサービスなどもあります。

この事前審査に通らなければ本審査に進むことはできません。
（ただし事前審査に通ったからと言って必ずしも本審査に通るわけではありません）

事前審査に落ちたら？

事前審査に落ちる理由としては、

・高齢である
・返済能力に対して借入金額が大きすぎる
・住宅ローン以外の借入金額が多い
・信用情報に瑕疵がある

などが考えられます。

しかし、一度事前審査に落ちたからといってマイホームを諦める必要はありません。

借入額を変更する、別の金融機関に申し込むなどの手段もあります。

自身の債務状況を正確に把握しよう

資金計画の段階で借入金がどの程度あるのかをヒアリングさせていただく際、スマートフォンの分割払いや奨学金は「借金」と認識していない方が多いですが、これも立派な借入金の一つです。

事前審査で失敗しないためにもご自身の債務状況は正確に把握しておきましょう。

複数の金融機関に申し込みはできる？

住宅ローンの審査は同時に複数の金融機関に申し込むことが可能です。

1つ審査に落ちてから、別の金融機関を検討して…などということを繰り返すのは非常に非効率的です。

複数の金融機関に申し込みを行うことで、申込書への記入などの手間は増えますが、効率を考えれば同時進行でいくつかの金融機関に審査を申し込んでおくのが良いでしょう。

売買契約とローン申し込み

事前審査に通過したら、いよいよ売買契約とローンの申し込みを行います。

売買契約時は「ローン特約」をしっかりと確認しよう

不動産会社やハウスメーカーとの売買契約は、本審査の前に結ばれます。

しかし稀に、事前審査に通ったのに本審査に落ちてしまう、ということがあります。

売買契約を結んでいるにもかかわらずローンが通らなければ、当然のことながら買い主は住宅購入という売買契約を履行することができません。

通常、買い主の都合で契約を解除する場合、事前に支払っていた手付金はペナルティとして戻ってきません。

住宅購入ができない上、手付金まで戻ってこないとなると買主には大ダメージですよね。そこで買主を保護する目的で定められるのがローン特約です。

ローン特約とは、申し込んだ融資が全額または一部未承認となった場合、指定の契約解除期限までに契約解除を申し入れれば無条件で契約が解除できるというもの。

住宅ローン契約の場合、ローン特約があるのが一般的ではありますが、中にはローン特約なしの売買契約も存在します。

契約時にしっかりと確認しましょう。

また本当にローンが通らず契約解除しなければならなくなった場合は、売主に対して内容証明郵便できちんと契約解除する旨を伝えましょう。

ローンが通らなければ自動的に契約が解除される、と思い込んでいる方が時々おられますが、それは間違いです。期日までにきちんと契約解除を行わなければなりません。

住宅ローン本審査

住宅ローンの本審査では事前審査よりさらに詳しい審査が行われます。

住宅ローン本審査の内容

本審査では主に、事前審査の際に確認した内容に相違がないかを審査します。

事前審査よりも厳密な審査が行われるため、本審査に要する日数は約1〜3週間程度です。

ちょっとした書類の不備や不足でも審査に落とされてしまうことがあるため、必要書類などは事前にしっかりとチェックしましょう。

事前審査に通ったのに本審査で落ちてしまう原因は？

事前審査に通ったのに本審査で落ちてしまった場合、原因として下記のようなものが考えられます。

・書類の不備
・事前審査時と状況が異なっている
・担保の評価価値が低い

中でも多いのが、事前審査時と状況が変わってしまい本審査に落ちてしまうパターンです。

弊社でも実際にあった事例ですが、事前審査に通った後、自動車のローンを組んでしまい、本審査に落ちてしまった方がおられました。

住宅購入のタイミングに合わせて自家用車の新調を検討される方は多いと思います。

しかし、自動車の購入は必ず住宅ローンの本審査が通った後にしましょう。

「先に住宅ローンを組んだら今度は車のローンが通らないのでは？」

という心配はご無用です。住宅ローンの審査に通ることで信頼を得て帰って車のローンも通りやすくなるくらいです。

うっかり先に車のローンを組んでしまったために住宅ローンが通らなくなり、資金計画が大きく狂ってしまったら大変です。

「家と車なら家が先！」

スムーズな住宅購入の必須ポイントですので、ぜひ覚えておいてください。

転職なども、本審査が終わり融資が実行されるまでは避けておくのが無難です。

住宅ローン契約

本審査に通ると、住宅ローン契約を結ぶことになります。

住宅ローン契約には下記の3点の契約書を取り交わすことになります。

■金銭消費貸借契約書

金融機関と借主が結ぶ契約書です。

金銭消費貸借契約書には借入額や金利、金利タイプ、返済期間、引き落とし方法、遅延損害金などに関する記載があります。

内容をしっかりと確認しましょう。

また金銭消費貸借契約を結ぶ際には下記の書類と実印が必要です。

・印鑑証明書
・住民票（家族全員分）
・本人確認書類（免許証や健康保険証パスポートなど）
・不動産売買契約書の原本
・収入印紙

■抵当権設定契約書

住宅ローン契約時には「抵当権」が設定されます。

「抵当権」とは、もし借主が住宅ローンの返済ができなくなった時、金融機関が土地や建物を担保として獲得する権利のことです。

■団体信用生命保険申込書告知書

団体信用生命保険、いわゆる団信は、住宅ローンの返済中に契約者が亡くなったり重大な障害を負ってしまった時にローン残高が¥0になる保険です。

【団信のメリットとは？】

団信のメリットは、契約者が死亡したり重大な障害を負った際、その家族に経済的な負担がかからないという点です。

また、通常の生命保険は満期になって一時金を取得した場合所得を申告しなければなりませんが、団信の場合、所得税の納税義務は発生しません。

【団信のデメリットとは？】

通常生命保険料は所得税の控除対象となりますが、団信は所得税の控除が受けられません。

団信の場合、保険金の受け取り人が住宅ローン契約者やその家族ではないためです。

また、一般的な生命保険に比べて保険料の総支払額が高くなりやすい上に、保証内容も薄くなります。

【契約書の控えは大切に保管しておこう】

住宅ローン契約に限らず何かの契約書を交わした時は、契約書の控えは大切に保管しておきましょう。

将来、何らかのトラブルがあった際、どのような契約を結んだのかを示す公的な書類が手元に残っていることはとても重要です。

融資実行

住宅ローン契約が締結されたら、次は融資が実行されます。

融資実行の決済は銀行で行われることが多いので、土日にはできません。銀行の営業時間内である平日の午前9時から午後3時までの間に行われるのが一般的です。

平日仕事がある方は、事前にスケジュールの調整を行っておく必要があります。

融資実行の流れ

融資実行の当日は、まず司法書士が借主の本人確認や登記に必要な書類の確認を行います。

本人確認や書類に問題がなければ、融資が実行されます。

融資実行によって融資金額が借主の口座に振り込まれ、借主の口座から売主の口座へと振り込まれます。

売主は自身の口座への振込確認後、買主に対して領収書を発行します。

その後、司法書士による所有権転移登記や抵当権設定登記が進められます。司法書士に報酬を支払うのもこのタイミングになります。

必要な手続きが終わったら、売主から買主に各設備の取り扱い説明書や物件の鍵が手渡されます。

融資実行日に必要なもの

・本人確認書類
・実印
・印鑑証明書
・住民票
・融資金額が振り込まれる通帳、銀行員

分からないことや心配事は担当者にしっかり相談しよう

家を買うという大きな決断をするだけでも大変なのに、住宅ローン契約にまつわる煩雑なやり取りや手続きを全て把握しながら進めていくのは大変ですよね。

分からないことや心配なことがある場合は、そのまま放置したり一人で抱え込んだりせず担当者に遠慮なくご相談ください。

弊社スタッフがしっかりサポートさせていただきます！